治世

朝日が眩しい。今日もいつもと変わらぬ朝が来る。

目を擦りながら時計を確認すると、時刻は8時10分前を指していた。私は嫌々ながらベットから体を起こし、カーテンを開け、朝の空を仰ぎ見る。雲一つない快晴の青空が遥か遠くの山の向こうまで続いていた。


こんなによく晴れた気持ちのいい朝なのに、心の中は憂鬱で仕方ない気持ちだった。なぜなら今日は月曜日。この日は一週間のうちで最も憂鬱で気が滅入る。なぜなら、今日からまた学校が始まるから。そう思っただけで気が重い。何もかも嫌になりそうな気分になる。

気だるい体を引きずるように部屋を出て階段を降り、台所へ。戸棚から食器を取り出し、いつものように買い置きのパンで朝食を摂る。美味しくも何ともない食事。はっきり言って食欲はほとんどなかった。もともと、平日の朝はだいたいこんな感じ。学校に行きたくないと、そう思わない日はほとんどない。まだ残る眠気と憂鬱な気分が体に重くのしかかり、食事を口に運ぶのも面倒くさくなってくる。

 

 

 

…私は学校が嫌いだ。今まで学校が好きだと感じたことがない。仲のいい友達もいないし、教師だって嫌な連中ばっかりだ。本当に、学校のことを考えるだけで不愉快になってくる。できれば考えたくもないが、いくら考えないようにしたところで学校がなくなるわけではない。結局、いつも朝がくるたびにこうして憂鬱な気分になってしまう。毎日がその繰り返しだ。つくづく嫌になってくる。

 

 

 

本当に、私の高校生活って何なんだろう…こんなに嫌な毎日を過ごすくらいなら、初めからあんなとこに入学するんじゃなかった。受験のときに私は滑り止めも含めて何校かに合格していたから、別の学校を選ぼうと思えば選べたのだ。最終的には家から近いからという理由で今の学校に入ったが、それがそもそもの間違いだったのだろうか?もし仮に別の学校を選んでいたら、こんなことにはならなかったのだろうか?

 

 

 

…わからない。たぶん、今の学校を選んだのは間違っていた可能性が高いだろう。けど、推測できるのはそこまでだ。他の学校にしていたらどうだったかなんて皆目見当がつかない。想像すらできない話だ。

 

 

 

第一、仮にそれが今わかったところでどうにもならない。あのときこうしていればなどと言ったところで、時間を巻き戻せるわけではないのだ。こうして四の五の考えている間にも、時間は容赦なく過ぎていく。もはや、ゆっくり物思いに耽る暇すら与えてはくれない。そろそろ行かなくては…

 

 

 

私は食べ終えた食器を手早く片付け、洗面所で歯を磨いて顔を洗い、そして自室に戻って制服に着替えて鞄に教科書、ノートを少し乱雑に詰め込む。少し遅い時間だが、今すぐ出れば、それほど急がなくても間に合うだろう。遅刻するといろいろ面倒だし、行くか…とにかく今は余計なことは考えないようにしよう。どうせ今日も憂鬱な一日なのだから、いっそ何も考えない方が楽だ。全てが面倒くさい。早く今日一日が終わってくれるようにと祈りながら私は靴を履いて玄関を出た。