朝風

こんな朝早くに目が覚めてしまった。冷たい隙間風が流れ込んできて異様に寒い。眠気はあるが、一人で寝なおすのは少し心もとない。仕方ない。あいつでも呼んでくるか…そう思って俺はベットから出た。 一階では家族と使用人たちが忙しく動き回っていた。朝食…

税制改革の議論は行き詰まり、国会の機能が停止して二か月。この頃になってようやく議事堂前での騒乱も下火になり、社会が少しずつ平穏を取り戻しつつあった。止まってしまった国会を再び動かすため、与党幹部らは野党に協議を申し入れる。野党側は当初難色…

片付け

治世

朝日が眩しい。今日もいつもと変わらぬ朝が来る。 目を擦りながら時計を確認すると、時刻は8時10分前を指していた。私は嫌々ながらベットから体を起こし、カーテンを開け、朝の空を仰ぎ見る。雲一つない快晴の青空が遥か遠くの山の向こうまで続いていた。…

稚児

入院

趨勢

右派自治政権が長年の悲願である政府与党の地位を手にした年、我が国は旧世紀時代から積み上げてきた天文学的金額の国債を返還するという国難に直面した。如何にして国債を返還すべきか、政府内では連日、昼夜を問わず会議が開かれ、議員たちが侃々諤々の議…

動乱⑤

左派政権の四年間は、ただひたすら国民に迎合しバラ撒きを続け、財源が尽きたために戦災復興が遅々として進まなかった。始めは高かった支持率も徐々に落ち、任期が終わるまで回復することはなかった。 四年間の任期が終わった年の解散総選挙で、左派連合は二…

年末

現実

投票したい政党がなければ自分たちで作る、政策は党員の議論で決める、これが大嘘であり、神谷宗幣に上手く取り入った、極右思想派とオーガニック信仰派が党を二分して、このふたつの思想に党が支配される状況になっていて、一般党員が政策論議に加わる余地…

粗品

祝ってくれるのはこいつらだけ。

動乱④

あの左派政権の四年間は何だったのか、少し筆を休めて振り返りたいと思う。 左派市民連合は、大小様々な左派政党の集合体である。それぞれ理念も政策も違うが、連帯することで戦後初の政権を担うことになった。彼らがまず直面したこと、それは荒廃した国土の…

動乱③

戦争終結後、初となる解散総選挙は史上最高の盛り上りを見せた。各党党首は公示前から全国を回り、所属議員、党員、支持者たちは全国各地で集会を開いた。都市部から地方の小さな町に至るまで演説の声が鳴り響きビラが撒かれ、テレビ放送ではどの局も通常番…

政務調査

政務調査・巡礼

動乱②

戦後、我が国では本土を敵の手に明け渡し、国土の大半を荒廃させた政府与党への激しい責任追及が幕を開けた。西側陣営の一国として戦争に勝利したというのは建前で、実際には我が国の政府は戦争終結前に降伏していた。加えて全国のインフラ、建造物に与えた…

動乱

思えばこの数年間で国は一変してしまったように思える。発端はどこだったのか。たぶん、数年前に始まったあの戦争だろう。 それは何の前触れもなく始まった。東の大国が、祖国の統一を掲げて隣国へ侵攻した。海軍と空軍による総攻撃が行われた後、陸軍による…

寝起

昼寝起き

11/2

嫁に怒られる

警備

家内見廻り