動乱⑤

左派政権の四年間は、ただひたすら国民に迎合しバラ撒きを続け、財源が尽きたために戦災復興が遅々として進まなかった。始めは高かった支持率も徐々に落ち、任期が終わるまで回復することはなかった。

 

 

四年間の任期が終わった年の解散総選挙で、左派連合は二期目の政権獲得に全力で望んだ。しかし、政策は相変わらずのバラ撒きが目立ち、財源を明確に示せないことから支持を拡大することはできず、全国で苦戦を重ねた末に、結局は僅差で敗北。二期目の政権を手にすることはできなかった。

 

 

左派連合に変わって過半数議席を獲得したのは右派自治政党だった。自治政党はこれまでの大衆迎合的な政治を改め、バラ撒きをやめ、小さな政府を目指す一方で戦災については強力に復興を進めるという政策を掲げて、結果的には国民の多くの支持を集めた。これでようやく我が国も戦争前の姿に戻れると、国民は期待して選挙を終えた。

 

 

 

ところが、右派自治政権は一年目から早くも難題に直面した。我が国では遥か昔から財政状況の悪化を受けて多額の赤字国債を発行し、その額は天文学的数字に膨らんでいたが、その国債の満期がとうとうこのときやってきた。政府はこの年を機に、国債の償還、つまり返済という窮地に立たされたのだった。